医療ガストラブルミニハンズオン
セルフチェックテストQ.20
神戸百年記念病院 麻酔集中治療部・手術部 尾崎 孝平
全20問中の何問に正解できるか是非挑戦してください。抜粋しました4問の解答は赤字で示しております。本セルフチェックテストの解答と解説は、医療ガストラブルミニハンズオンの終了時に参加者限定で配布させて頂きます。乞うご期待！
①医療スタッフの医療ガス知識について正しいものは？
- 経験年数が10年未満のスタッフと20年以上のスタッフでは正しい医療ガス知識の保有割合はほぼ同じである。
- 尾崎塾医療ガストラブルミニハンズオン「ガス供給停止の診断と対処」におけるアンケート調査（のべ参加者数846名、アンケート回収率71.7％）では、必要知識について自己評価で未知であったと感じた部分の平均割合は、医師・看護師・理学療法士は約7割に達した。
②酸素ボンベとその運搬について
- ボンベ各部の名称は？
- どの運搬が正しい
③高圧ガスボンベである酸素ボンベについて
- 充填済みの酸素ボンベの内圧は14.7MPa、その圧力は約150気圧に相当する
- ボンベの肩にある打刻印について、以下は何を表すか？
（ⅰ） V ３．４ （ⅱ） Ｗ ５．３ （ⅲ） TP ２４．７ （ⅳ） FP １４．７
（ⅰ）内容積L,（ⅱ）ボンベ重量kg（ⅲ）耐圧試験圧MPa（ⅳ）最高充填圧MPa
④酸素ボンベの保管について正しいものは？
- 酸素ボンベは変圧装置・配電盤から１メートル以上離す。（×）
- 酸素ボンベは45℃以下の環境で使用する。（×）
- ボンベの使用は高圧ガス保安法と薬事法によって規定される。（×）
⑤酸素ボンベの取り扱いについて正しいものは？
- 周辺に火気がなければボンベの発火事故は発生しない。
- ボンベと圧力調整器の接続部分に錆がある場合、専用のシリコンオイルを使用して錆を除去して使用する。
- 充填済みの新品ボンベもクラッキング（空吹かし）は必要である。
⑥酸素ボンベ開栓時の注意について正しいものは？
- ボンベ開栓時には圧力計の反応を確認するために、針の上昇を注意して観察する
- 圧力調整器は高圧ボンベと異なり、安全管理の責任は所有する医療機関にある
⑦酸素ボンベ開栓時のハンドル位置について正しいものは？
- 使用時にはハンドルを反時計回りに回転させ、最大開放位まで回したところで使用する。
- ハンドルが動かないボンベに遭遇したら、業者にその状況を連絡し、そのボンベは使用せずに返却する。
⑧酸素ボンベのハンドルが動かない場合の正しい対応は？
- ボンベ交換の際、圧力調整器の手回しナットが固くて回らない場合に、ナットを傷つけないように保護しながらレンチで回転させる。
- 上記の原因として最も頻度が高いのは、ネジ山の削れおよび錆である。
⑨院内のボンベの取り扱いについて正しいものは？
- 使用中の酸素ボンベは横置きで使用できない、保管・運搬時は横に寝させて管理できる。
- 二酸化炭素（CO2）のボンベは横置きでも使用することができる。
- EOG（エチレンオキサイドガス）には可燃性・爆発性のほかに毒性・発癌性があり、保管および取扱いには厳重な注意が求められている。
⑩酸素ボンベの残量は？
- ボンベの肩の打刻印にはV 3.4とあり、開栓すると圧力計（単位MPa）は10.0を指している。ボンベ内の酸素残量は？
- 上記ボンベを酸素流量5L/分で使用すると、何分使用可能か？
- ボンベ内圧が大気圧なったのでボンベ交換を実施した、正しいか？
⑪搬送時の酸素ボンベの必要量について正しいものは？
- 使用想定量は、様々な状況を考慮して最大所要時間を見積もって算出し、準備する酸素量は使用想定量の少なくとも1.5～2倍を見込むことが望ましい。
- 病棟外で酸素供給を停止する場合は、漏れ防止のためにボンベハンドル（容器弁）を閉じる
⑫ボンベ残量はいくらか？
- 右の内容積10Lの酸素ボンベの圧力計が10MPaを示している時、酸素流量10L/分で何分使用可能か？
⑬医療用ボンベ・工業用ボンベについて正しいのは？
- 医療用の液化炭酸ガスボンベのガス取出し口はヨーク弁タイプが採用され、ネジ式の取出し口をもつ工業用ボンベの医療機関への持ち込みは禁止される。
- 液化ガスの充填は容易であり、工業用としても多用される液化炭酸ガスは酸素に比較して充填場所も多く、入手が容易である。
⑭ボンベガス種を易認識できる対策で正しいものは？
- CO2ボンベを酸素ボンベと誤認する事故を防止するために、CO2ボンベを2色塗色（上部1/３を橙色）にすべきである。
- ボンベの誤認を防止するために、ガス名をすべてのボンベ肩に日本語表記で明瞭に示すべきである。
⑮ボンベの使用期限と滞留ボンベについて正しいものは？
- 酸素ボンベなどの一般的な鋼鉄製の高圧ガスボンベは、5年に1度、安全点検（耐圧検査）を受けることが高圧ガス保安法によって義務付けられている。
- 貸与期間や安全点検の期限を過ぎて放置される滞留ボンベは、腐食や圧力調整器の故障などによる事故の危険性が高く、非常に危険である。
⑯酸素過剰の環境について正しいものは？
- 40％酸素濃度環境下では、着衣が発火燃焼した場合に、致命傷または重症になる人の割合は98％に達する。
- 高濃度酸素を患者周辺に高流量で大量に散布する行為（ネーサルハイフローなど）では、患者周辺に酸素過剰の状態を作り出す危険性が高い。
⑰酸素の貯蔵と各種酸素供給装置について正しいものは ？
- 大容量の液化酸素が貯蔵されるCE（cold evaporator）は定格最大充填量で10日分以上の酸素使用量を維持できる必要がある。
- バルブ一体型ボンベには、圧力調整器と流量計を装着する煩雑さや断熱圧縮の危険性を排除でき、HOT患者などの吸入酸素療法での使用に適している。
- HOT用の酸素濃縮器は吸着式で、酸素濃度95％程度まで濃縮が可能であるが、酸素流量（吐出量）は5L/分以下の機種が多い。
⑱中央配管の圧力低下について正しいものは？
- 中央配管圧が低下したとき、人工呼吸器はJIS規格で定められた警報を発する。
- 配管圧の有無は、病棟では確認できないので、中央監視盤が設置される部署で確認する。
⑲中央配管システムについて答えよ。
①②の名称は？ 酸素の位置は④⑤のどこ？ 配管圧は？
②アウトレット、②アダプタープラグ
酸素は③の位置 360～440 kPa
⑥院内の壁面にある右図の装置の名前と役割は？
区域遮断弁（シャットオフバルブ）
配管の破綻部分からの漏出が停止できない場合に、
その区域の供給を犠牲にしてシステムの維持を図るための装置で、レバーを手前に引くと下流のガス供給が停止される。
⑳中央配管損傷と逆送システムについて正しいものは？
- 耐震・免震の機能を備えた医療機関では、建物被害が発生しなくても、建物の接合部や埋設配管が破綻して、医療ガス供給が停止する危険性がある。
- 酸素の逆送システムは、末梢に破綻を有する中央配管の支配領域を閉鎖して、そこに大容積の酸素ボンベから酸素を送り込むシステムである。
