第38回日本呼吸療法医学会学術集会~明日の呼吸を科学する~

企画趣旨

HOME > 募集演題種別 > 企画趣旨

シンポジウム「VAEサーベイランス再考:真に遂行可能なのか? 有益なのか?」(一部指定)

米国CDCは、2013年よりVAEサーベイランスを開始した。日本でも、このサーベイランスを導入する機運がある。しかし、この概念の妥当性や有効性は、未だ確立されていない。確かに、従来のVAPサーベイランスは感度特異度が低く、主観的(胸部レントゲンの読影)で、VAEの評価手法は客観的である。しかし、PEEPとFiO2は数値としては客観的なものの、施設の実践や個人の医師により恣意的に変更可能である。そのような曖昧な状況で、VAEサーベイランスが開始されることに問題はないのか、あるいは、誰がこれを評価しどのように用いるのか、さらには、日本におけるVAEの基礎的データはどうなっているのか、などについての情報は依然として不足しているといわざるを得ない。本シンポジウムでは、感染制御、および、集中治療の立場よりそれぞれこの問題について御検討頂き、討論を御願いしたい。

シンポジウム「地域での切れ目のない呼吸ケアを目指して」(一部指定)

超高齢社会に対応するため、国の施策として地域包括ケアシステム構築が推進されている。当学会に参加する急性期病院は地域の呼吸ケアネットワークにおける果たすべき役割を明確に打ち出していく必要がある。学会として地域で行われている呼吸ケアの現状・問題点を把握し、呼吸不全の一次予防、二次予防のため何を支援していくかを検討していく必要がある。このネットワークを動かすためにはコーデイネーターが必要で、誰がどのように動くべきなのか?急性期病院、慢性期病院、訪問看護ステーション、メーカーの在宅担当者等を交えて、各地でのネットワーク構築をイメージできるようにデイスカッションを展開していく。

シンポジウム「在宅人工呼吸療法~現場での挑戦と工夫~」(一部指定)

在宅人工呼吸療法(HMV)を対象とした従来の学会シンポジウムなどにおいては、既にその方法論や効果などかなり検討されてきてはいるが、その実施に当たってはまだ工夫すべきいくつかの点が残されている。本シンポジウムでは、その効果を最大限に引き出すため、現場での改良点を共有することにより、更にクォリティの高いHMVにしていくことを目的とする。
具体的には本法の対象である神経筋疾患と慢性呼吸器疾患の進行期の患者さんに対して今春診療報酬提案している経皮CO2モニターを用いた様々な睡眠中の測定とHMVの導入の判定について、また在宅での臨床工学士による点検や理学療法士からのアプローチ、さらに在宅情報として機器からの抜き取れる情報の外来での活用、個別に栄養指導や排痰促進などを行うことで、より長期間・安全にHMVを継続することが可能かについて討論を行う。

シンポジウム「人工呼吸器離脱前後のケアのあり方」(一部指定)

かつて人工呼吸器離脱は「アート」とみなされていた時代がありましたが、現在はプロトコルに基づいた標準的な離脱方法を用いることが推奨されています。また離脱のみならず、鎮痛や鎮静のコントロールや抜管後呼吸不全の予防や治療などその前後のケアも離脱の成功率を高めるためには重要とされています。本セッションでは「人工呼吸器離脱」をキーワードとして、それに関連するさまざまなテーマを一同に議論してみたいと思います。
参考文献)Ventilator Discontinuation:Why Are We Still Weaning? AJRCCM 2011;184: 392

シンポジウム「早期リハビリテーションにおける多職種連携の課題と解決策
       ~人工呼吸器患者の離床から~」(一部指定)

近年のICUにおける治療戦略の発展により、重症患者の生存率は飛躍的に向上した。その半面、重症であるがゆえにICUを退室後も深刻な身体的・精神的機能障害を残すことが多い。このような問題に対して、鎮静の中止や漸減ならびに積極的な早期離床が推奨されている。しかし、人工呼吸器や各種デバイスの装着された重症患者において、安全かつ効果的な離床には専門的な知識や技術だけでなく、多職種による包括的な連携体制が必須である。
早期リハビリテーション研究会では、早期リハビリテーションをICUにおける治療戦略の一つとして位置付け、その実践と普及を目的に活動を行ってきた。今回、そこで得られた早期リハビリテーションにおける連携の実態と課題を提示し、演者の方々には多職種連携の実践から課題をどのように解決してきたかを人工呼吸器患者の離床を例にとって述べていただく。人工呼吸器装着患者の離床は多くの施設で行われているが、安全対策やマンパワー、アウトカムの共有などはまだ十分でないと思われる。多職種連携構築のヒントになるような議論を期待したい。

パネルディスカッション「どのようにしてRapid Response Systemを導入するか?」
(一部指定)

昨今の医療安全気運の高まりとも相まって、その施設が入院中の患者に対して、いかなる安全対策を講じているかは極めて重要な問題となってきている。入院理由となった原疾患以外の理由で、入院患者が心停止に陥るまたは死亡すること回避しなければならない。これは入院中の患者の安全対策として最も大きいテーマの一つである。そんな中で、入院中の患者の状態が悪化する前に、その前兆をとらえて介入を開始し、その患者の予後を変え、院内心停止や死亡を回避してゆこうというのがRapid Response System (RRS)である。 また、急変の前兆としては、呼吸の異常が大方を占めるということから、本学会においても関係の深いシステムといえるのではないか。
本シンポジウムでは、各施設のRRS導入のプロセスと現状を紹介していただき、患者安全へ向けたこのシステムの現実可能な有りかたへ議論を深めたい。

パネルディスカッション「近頃NPPVについて考えたいこと」(一部指定)

・古くて新しいNPPVであるが、近年他の治療手段の進歩もあり呼吸不全の中での立ち位置が微妙に変化
 してきていることを感じる。

・急性呼吸不全症例へのNPPV、ハイフローセラピーとの立ち位置は?

・NPPVは安全か? NPPV中のトラブルへの対応

・NPPVに鎮痛・鎮静を行うことの是非

・NPPVのPCVモードを考える。

・在宅NPPVにおいて病院スタッフが果たすべきこと

などについて、オムニバス的な議論ができるとおもしろいと思います。

パネルディスカッション「High Flow Oxygen Therapyー理論から臨床実施までー」
(一部指定)

High Flow Oxygen Therapy(HFOT)は臨床現場に導入されるにつれ、単に酸素療法と陽圧換気療法をつなぐものではなく、新たな役割が期待されています。本セッションでは、HFOTの機序と役割に関し、急性期から慢性期までを含め検討します。これらを踏まえ、今後のHFTの展開と臨床現場が準備すべき問題について議論します。

パネルディスカッション「人工呼吸器離脱困難小児の管理」(一部指定)

小児の人工呼吸期間は一般的に短いが、時にウィーニングに難渋することがある。今回は、ウィーニングに焦点を当てて、小児の人工呼吸に対して経験・造詣が深い先生方に議論をしていただく。議論のポイントは、人工呼吸中の患者の呼吸努力・呼吸仕事量の評価、抜管後の予防的サポートとしてのNPPVやHFNC、早期の気管切開、気管切開後の管理、としてそれぞれに関して議論をしていただくこととしたい。

パネルディスカッション「人工呼吸器の適正使用と人工呼吸中の安全管理」(一部指定)

人工呼吸療法は呼吸不全の治療と救命が目的ですが、適切に使用しなければ逆に患者の状態を悪化させる可能性があります。患者の病態に合わせた設定、患者の観察、機器の安全管理など、人工呼吸を安全に行うためには習熟した多職種スタッフの連係が必要不可欠です。このシンポジウムでは、医師、看護師、臨床工学技士が日々の臨床において安全な人工呼吸のために気をつけるべき事について各分野のスペシャリストの先生方に講演頂く予定です。