第38回日本呼吸療法医学会学術集会~明日の呼吸を科学する~
ご挨拶
第38回の学術集会を、2016年7月16日(土)、(日)に名古屋国際会議場にて、開催させて頂きます。開催にあたり、会員の皆さまはもとより、様々な側面から支えてくださった関係各位に心より御礼申し上げます。
今回のテーマは、「明日の呼吸を科学する」とさせていただきました。前回会長の橋本 悟先生がテーマとされた「やすらかな呼吸を求めて」を実現するために、呼吸そのものを今一度見つめなおし、近未来の呼吸管理はどうあるべきかをアカデミックに考える場としたいとの思いを込めています。私自身、呼吸は単に換気力学的な側面からだけでなく、自律神経や精神面など多様な観点から考えるべきであると考え向き合ってきました。この立場から、メディアでも広く活躍されている明治大学文学部教授の斎藤 孝 先生に「呼吸は心身をつなぐ~息の人間学~」のタイトルで特別招請講演をお願いいたしました。
学術企画も目白押しです。新しいARDSガイドライン、小児在宅人工呼吸マニュアル、早期リハビリテーションエキスパートコンセンサスなどのお披露目をはじめ、超急性期から地域医療、在宅まで幅広く企画しました。また、緊急企画として、「熊本地震における小児在宅患者家族とスタッフの対応」、「H1N1インフルエンザと急性呼吸不全」を組み入れました。昨年好評だった文献レビューは、ARDSだけでなく幅を広げて取り上げて頂きます。集中治療のシンポジウムでは、肺と他臓器との臓器連関などを取り上げました。ECMOに関しては、デバイスや管理中心で話題が集中しがちでしたが、昨今技術も進歩し、我々の施設でも筆談や端座位も可能になりました。そこで、今回はAwake ECMOに焦点を当てます。そして、これら医療技術の進歩の先にある、「それでも救えない命の終末期医療」は、我々が直面しつつある大きな問題です。急性期の呼吸管理と倫理の側面にスポットを当て、この領域における第一人者である前理事長の氏家良人先生に特別講演をして頂きます。ハンズオンも経肺圧、J-PAD、肺エコー、早期リハビリテーション、ウエットラボなど多数揃えました。教育プログラムも多数企画し、研修医並びにメディカルスタッフ向けの「よくわかるセミナー」16本と、医師向けの「エキスパートセミナー」7本を用意いたしました。臨床統計疫学での第一人者、新谷 歩先生には、初級向けと中級向けの統計学講義を賜ります。医工連携プログラムには、フロアを交えた活発な討論を期待し、人工呼吸器の開発メーカと使い手の医師によるパネルディスカッションを取り入れました。各領域で、海外から著名な演者を大勢お呼びしておりますが、すべて同時通訳を用意致しました。お陰様で、一般演題にも大変多くの応募を頂きました。特に優秀な10演題を厳選し、Best Presentation Award候補演題のセッションを設け、会員懇親会にて受賞者の発表・表彰を行います。
7月の名古屋は大変「暑い」ですが、冷房の効いた会場で「熱い」ディスカッションを交わしながら、「明日の呼吸を科学する」をテーマに繰り広げられるアカデミックなひと時と多職種間の交流をご堪能いただければ幸甚です。
皆様のご来場を、心よりお待ちしております。